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時代とOKI

第13回 CMOSの開発に成功 ~時計用ICでトップメーカーに

半導体技術は1960年代に複数の回路素子を組み込んだIC(Integrated Circuit:集積回路)の実用化を迎えます。その中でOKIは、1965年(昭和40年)からICの研究をスタート。MOS-ICの領域で先進的なイノベーションに取り組み、時計用、カメラ用のIC(CMOS)で独自の市場を切り拓いていきます。

電子交換機用ICを開発

1959年(昭和34年)にアメリカのジャック・キルビーが、構成部品を1個の半導体結晶内に封じ込めるICを完成。トランジスタ1個分のシリコン結晶が部品ではなく回路になったICの発明は、世界に衝撃を与えました。最大の特徴は、単体のトランジスタと比較して小型軽量かつ低消費電力なこと。かつて事務机の半分近くを占領した電子式卓上計算機が、ICの利用で掌上に収まるまでに小型化されたほどでした。


初期のIC

OKIはトランジスタからICへの転換を確信します。1965年(昭和40年)12月、ICの研究室を新設し、1971年(昭和46年)までに電電公社認定の電子交換機用ICの開発をテーマに掲げます。研究陣に与えられた猶予は6年でした。ちなみにトランジスタは「バイポーラ」と「電界効果」の2種類に大別できます。理論的には電界効果が先んじていたものの、実用化はバイポーラが先でした。OKIの研究陣はバイポーラのIC化にターゲットを絞ります。

紆余曲折ありましたが、1971年(昭和46年)12月、OKIはスケジュール通り電子交換機用バイポーラICの開発に成功。晴れて電電公社の正式認定を受けました。バイポーラICは電電公社に納入する電子交換機「D10」に使用されたのをはじめ、多様な端末機器に搭載、自社製品の電子化に力を発揮するのです。

電界効果トランジスタのIC化を推進

社内需要を満たすために生産されていたICは、やがてニーズに応じて外部に販売されるようになります。そのプロセスの中で、OKIは独自の歩みを続けていました。MOS(Metal Oxide Semiconductor)電界効果トランジスタのIC化です。シリコン処理技術の問題から確立は遅れていましたが、1965年(昭和40年)ごろに実用化されると、瞬く間にICへと発展していきます。

OKIはMOSICが出始めた1965年(昭和40年)から研究をスタートさせます。当初はバイポーラICと比べて動作速度が遅いという欠点があり、社内からは研究を中断すべきとの声もありました。しかし、製造工程がシンプルで、集積度を高めやすいというメリットに着眼した研究陣は、動作速度に課題はあっても、電子製品の80~90%はMOSで十分に動くとの手応えを感じて研究の継続を強く主張します。

大きな転機は1966年(昭和41年)。この年にMOSICを使った時計のデモンストレーションがあり、それを見た岐阜県警からスピード違反取り締まりのスピードメーター開発を依頼されます。この製品が地元を中心に大反響を呼びました。OKIは1967年(昭和42年)4月に正式にMOSICの生産を開始します。

世界に先駆けて液晶デジタル時計用ICを量産

シリコン窒化膜などで絶縁膜の安定を高める研究を進めた結果、OKIの研究陣は画期的なMOSICの開発に成功します。N型とP型のMOSトランジスタを使って、1つの回路の中に性能の良い回路を実現したMOSICです。相補形(Complementary)であったため、「CMOS」と名付けられたOKI独自の技術は、1.5Vの電池で1年以上動くことを可能にしました。


時計用にカスタマイズされたIC

きっかけは、時計メーカーからの依頼。それまで時計メーカーではトランジスタを使った電子式の腕時計を製品化していましたが、単価が100万円もしたので売れず、製品コストの低減を目的とした要請でした。しかし、その際仕様に定められた「1.5Vでの動作」がネックになります。当時の技術ではOKIをはじめとしたどの半導体メーカーも応じられないものだったのです。残念ながら、時計メーカーの願いにタイムリーに応えることはできなかったものの、潜在的ニーズの実現へ向けてOKIの研究陣は発奮します。結果的に1.5Vで動作するCMOSを完成させたのです。

その後、OKIは1972年(昭和47年)、カシオからの依頼で世界に先駆けて液晶表示のデジタル時計用ICを開発。海外のICメーカーも追随してきましたが、多機能のオリジナル製品の量産で対抗するなどして時計用ICにおけるトップメーカーとしての地位を獲得します。

どこにもない技術の創出…。ICの開発に挑んだOKIのスタンスは、まさに時代の先駆者としての志のもとにありました。同時にこの時代は、高度経済成長に陰りが見え始め、1970年代の石油ショックによりその終焉を迎えます。その中で、ICという新分野を重要な柱として捉え、それを起爆剤に事業を活性化させたOKIの経営陣の先見の明も見逃すことはできません。

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